無農薬有機栽培の手始めとしての

         「  不耕起 栽培  」の試み      

 
 今度のテーマは、上に書いたちょっと難しいテーマです。「不耕起栽培」のトマトは、今年で2年目になります。今の所は、毎年耕起していたのと比較に成らないほど大変良い状態を保っています。

 きっかけは、山下一穂さんと言う高知の本山で完全無農薬栽培を実施している方を知ってからです。山下さんは、E M 農法を駆使して、実に面白おかしく農業を営んでおられます。興味のある方は、是非、無農薬栽培日記「Oh!農」( http://www.melma.com/mag/17/m00011917/ )に寄ってみて下さい。きっと農業というものの考えが変わって来る事でしょう。メールマガジンに登録すると隔週でメールが届きます。私も大変楽しみに待っています。

山下さんと私、そして、ギターをつま弾くけんさんは、山下さんの野菜を売っています。
バックは、山下さんのミニトマトハウスです。


 さて、本題に入りましょう。無農薬有機栽培を目標にしたとき、そのまず一歩目を考えた時にネックになるのは土壌消毒です。例えば、ショウガを作るときの最初の仕事は土壌消毒です。圃場全体をポリマルチで覆い臭化メチルと言うガスで消毒します。その効果は絶大で、草も生えないし、病原菌も殆ど死んでしまいます。その無菌状態になった圃場にショウガを植えます。そう言う農業を30年位続けて来たと思います。
 ショウガ農家(あらゆる農家)にとっては、土壌消毒は栽培の一部。しかも、絶対に省いては行けない作業なのです。トマトを作り始める前の我が家は、昔からのショウガ作りでした。それ故、土壌消毒を省くと言うことはもう大変な冒険です。しかし、それをしなければ無農薬有機栽培は、夢のまた夢です。


 (何故か口調が変わる)土壌消毒をやらないだけなら何も不耕起にしなくても言い訳だが、現行の耕起栽培よりも不耕起の方が、土壌病害の危険度は少ないと直感的に考えた。
 これは私の考えだが、土壌病原菌は、何回も何回も土を耕すことによって増えてくるように思う。耕すことによって土壌の様々な菌のバランスを壊してしまう。それが菌の単一化を生み病原菌を増やしてしまう結果になっているのではないか?(故に、土壌消毒をせざるを得なくなる。)ならば、折角取れているバランスを壊さず良い菌をバランス良く補充してやれば上手く行くのではないか?そう考えて、不耕起栽培を決意した。


 やり方は、まずトマトの主な残さを片づける。その後畝全体の厚さ7pほどを溝の方へ移動させる。(妻には“しんどい”と大不評だ。)見た目は、平らな土地に杭が平然と並んでいるという感じだ。
 そこへ、E M 活性液50倍と苦土石灰を全体にかけ、良い菌を補充する。そうして、20日位放置しておき、土の中のトマトの小さな残さを分解して貰う。そして、定植前に、溝をあげ定植する。見た目は耕起栽培と何ら変わりはない。が、中身は全然違うのだ。


 土壌改良材というのは、やたらと高い印象があるが、このE M 活性液は20gで2000円と安い。これを通常は1000倍に薄めて使うので長続きする。やはり安いのが一番である。


 
          「 不耕起栽培の メリット & デメリット 」


 まずはメリット。第一は、何と言っても大幅な労力の削減でしょう。刺してある杭を取って片づけて、定植後にまた同じ用に杭を刺す。この行為が、何とも無駄だといつも思っていました。これで、一週間は作業が省略出来ます。耕耘、元肥の施肥、それと勿論土壌消毒これらの仕事が省略出来ます。

 これからは、栽培上のメリット。これが最大のポイントだと思います。それは、土が硬いと言うことです。しかし、そこへコップで水を掛けると、す〜〜〜っと土の中に入っていきます。耕耘して畝立てした所へ同じようにすると、枝川の土は赤土で、特にその傾向が強いようですが、水が表面を走ってちっとも中に入って行きません。その差は大きいです。

 それと、土が硬いことで、定植したときに苗に適度なストレスを与えることが出来ます。つまり土が硬いから、なかなか根が刺すことができません。そこで植物は、新たな根を出そうとします。そうしてたくさんの根を出すモードに入るのです。根の数がたくさんあるということは成長点がたくさんあるということです。大きな分子(アミノ酸、カルシウムなどのミネラルなどで、これらは旨みの素です)はこの成長点から大部分吸収されるので(葉面散布は除く)、いかに多くの根を出させると言うことが、トマト作りのポイントにもなるのです(細根型)。
 
 
 逆に柔らかな土地に定植した場合、この細根型なりにくく、ややもすると根の数が太くて少ない直根型になりやすい。故に定植から一ヶ月は細根型にすべく非常に気を使うのです。
 不耕起栽培は細根型になりやすい栽培法なので、その気遣いが極めて少ない。むしろ初心者はこちらの方がよいトマトを作れるのではないかと思ってしまいます。


 次にデメリットです。最大のデメリットは精神的なストレスだと思います。定植後のトマトが、枯れるのではないか?もしかしてこの栽培法は、大きな滝の寸前を浮かぶ、筏みたいなものではないだろうか?とか・・・。去年は青枯れで、三本くらいやられましたが、今年はゼロでした。BSEの騒ぎで分かると思いますが、一本出ると全てのトマトが発病前の状態に見えてしまいます。
 それと頭の痛いのが雑草です。草むしりが大変です。誰かいい方法を教えていただければ幸いです。


 無農薬栽培&有機栽培をインターネットで検索すると

無農薬栽培とは、農薬を使用しない栽培方法により生産された農作物をいいます。ただし、当期作においてのみ農薬を使わなかったということであって、有機農産物と異なり前作までの農薬などの使用状況は問いません。
(農林水産省「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」参照)
よって、無農薬栽培において、化学的に合成された肥料の使用は可能です。

有機栽培とは化学的に合成された肥料及び農薬(除草剤を含む)の使用を避けることを基本として、播種または植付け前2年以上(多年生作物にあっては、最初の収穫前の3年以上)の間、堆肥などによる土作りを行なったほ場においての栽培。
(農林水産省「食品表示のはやわかり」参照)

と出ます。

大変高いハードルです。しかし、お客様に少しでも安全なものを提供すべく頑張っています。オンシツツヤコバチやコマユバチDSなどの天敵も導入し低農薬に努めています。コマユバチは今年始めて導入してます。結果を楽しみにしています。



 世の中には目的は同じなのに色々な農法があります。
トマトはEM農法、堆肥は島本微生物農法、米はピロール農法で作っています。
それぞれの農法の研修に参加するとその部門のスペシャリストの方が、熱く語ってくれます。
 話はそれてしまいますが、私は趣味で、マンドリンとヴァイオリンをやっています。学生の時に素晴らしい先生と出会い、榊原喜三先生の熱心な指導のもとで全国コンクールで3位に入ることが出来ました。また今は、高知交響楽団に入り、前田昌宏先生(大阪音楽大学、大阪芸術大学サクソフォン科講師。)の指導のもとで、音楽活動をしています。先生が、練習の場で、はたまたお酒の場で、熱っぽく音楽の事を話してくれる。それをうんうんと聞く。そんなスチュエーションが私は好きです。

 農業も音楽も大変面白く、奥の深いものだと思います。
 あとは体力だけ???


終わり